普段皆さんが街中で目にしているバスやタクシー、トラック。何気なく利用している方も多いと思いますが、運賃設定の仕組みや、利用者や事業者の安全を確保するための仕組みがどのように決まっているかご存じですか?
すべて法律に基づいて決まっており、各事業者はその基準に沿って事業を実施する必要があります。
自動車交通部では、バス・タクシー・トラックの運送事業の安全確保やサービスの向上のため、各法律に基づく許認可等の業務を行っています。また、申請等による手続きだけでなく、安全運行確保のための指導・監査等も実施しています。
小:小林さん 木:木村さん イ:インタビュアー
小: 自動車監査官として主に自動車運送事業者(以下、事業者)に対する「監査」と「運輸安全マネジメント評価」を行なっています。バス、タクシー、トラックといった自動車を使用して行う事業者にとって、事故を起こさずに安全に業務を行うことは非常に重要な要素です。それぞれの法律では、輸送の安全を確保するために事業者が守らなければならない様々な義務が決められています。「監査」は、事業者が義務を遵守しているかを調査し、違反がある場合には車両の一時使用停止や事業の一時停止の処分などを行うとともに、改善に向けた指導も行います。このほかに、事業者は「絶えず輸送の安全性の向上に努める」ことも義務づけられています。そのために事業者が取り組んでいることを経営者などにインタビューし、優れた取組を評価するとともに、助言を行うことでさらに安全性を向上させることを目的とした「運輸安全マネジメント評価」業務も行なっています。
木: 私は、貸切バス関係の仕事をしています。貸切バスとは観光バスとも呼ばれ、バスツアーや学生の遠足、修学旅行などの際に使われるバスのことです。同じバスでも路線バスと貸切バスでは違うんです!業務としては、主に申請の許認可を行っています。貸切バス事業を新たに始めたい、事業内容を変更したい、といった申請に対して、安全・安心に事業を遂行できるかをチェックする仕事です。また、貸切バスを契約する際の料金(費用)の算出方法は安全コストを賄えるよう基準が定められているため、算出方法や契約金額が適切であるかの審査をしています。他にも、補助金による貸切バス事業者の支援も行っています。新型コロナウイルスの影響により大きな打撃を受けた貸切バス事業者に対し、国の補助金による事業支援をするのも私の仕事です。
イ: ありがとうございます。どちらの業務も私たちの生活に関わる大切なお仕事をされているんですね!事故を未然に防ぎ、地域の皆様が安心して生活をおくるために非常に重要な業務だと感じました。
木: 私たちの仕事は法律に基づいて行っているので、法律をどう読み解いて理解するのか、言葉で相手に伝わるよう説明するのかが難しく、大変だと感じています。事業者さんとやりとりをしていく中で、法律を正しく読み解く力、正しく伝える力が必要です。難しいですが、難しい分やりがいも感じています!
イ: 対面だと伝わりやすいことも、電話だと難しいこともありますもんね。法律ってなると特に!小林さんは何か印象に残っているお仕事ありますか?
小: 以前、運航労務監理官や外国船舶監督官などの海事系の業務を行っていたときの研修が印象に残っています!運航労務監理官の時の研修で、船員の学校に通っている学生さんと一緒に1週間船に乗せてもらった時に、実際に舵を握らせてもらったり、当直を見学させてもらったことがありました。船内で火災が発生したときのために、船員が受けなければならない消火訓練も体験しました。とても貴重な経験をさせてもらいました!
イ: そんな経験もできることがあるんですね!ビックリです!そういえばお二人は支局での業務経験もありますよね?そのときのお話も聞いていいですか?
小: もちろんです!私は以前、広島運輸支局で貨物運送事業を担当をしていました。貨物担当では、トラックなどを使用して行う「貨物自動車運送事業」の許可などの手続きを行います。申請に必要な書類や申請方法などを窓口や電話で案内し、提出された書類の内容確認や処理が主な業務です。各運輸支局では各県内すべての事業者の手続きを行うのですが、広島県は中国5県の中で最も事業者の数が多く、毎日様々な事案や相談に触れることができます。また、事業内容も建築資材や工業製品など企業向けの業務、宅配や引っ越しなどなじみのある業務までさまざまで、手続きにお越しになる方も大企業の方から地元に密着した企業の方まで。これらが相まって毎日忙しく過ごしていましたが、非常にたくさんの経験が積めました。複雑な手続きもありますが、丁寧にかつ工夫して説明することで申請がスムーズに進むと事業者の方にも喜んでもらえますし、自分の業務にも余裕が出てきます。ほかにも新規事業者向けの講習会や、事業者の労働環境改善のための協議会を開催することもあります。貨物運送は国の物流を支える重要な事業であり、運輸支局の貨物担当は貨物自動車運送事業者をサポートする重要な業務です。現在の業務にも活きる、いろいろな経験を積ませていただきました。
木: 私は、現在採用3年目になりますが、採用1、2年目は岡山運輸支局で主に監査業務をしていました。監査業務内容については小林さんのお話しにあったとおりですが、支局監査担当では実際に事業者の事業所に訪問し、法令に定められている義務を遵守できているかどうかを書類や聞き取りによりチェックをします。もちろん法令違反が認められれば行政処分を行うことになるのですが、その後どのように事業改善していくかが大事です。そのために事業者が不明に思っている事、悩んでいる事などをしっかりと聞き、誤っていることがあれば指導をする。また、改善策の助言を行うことも監査業務において非常に重要なことだと感じました。「木村さんのおかげで理解できた。改善策が見つかった。」など感謝のお言葉をいただいたときはとてもやりがいを感じました。
他には、小林さんのおっしゃった貨物事業者に対する講習会で、講師を1年目からさせていただく機会もありました。説明を行うことで自信にもつながりとてもいい経験をさせてもらいました!
イ: 支局では地域に密着した本局では味わえない経験ができるんですね!事業者さんに近いからこそ味わえるやりがいや、様々な経験ができる支局も魅力的ですね!
木: 説明会などで職員間の風通しの良い職場だと聞いていましたし、自分自身でも実際にその雰囲気を感じました。仕事となると辛いこともあるだろうと思っていたのですが中国運輸局でなら楽しく仕事が出来そうだと感じました。
小: バスや電車などの公共交通やバリアフリー化など、高齢の方をはじめ、たくさんの人の助けになる仕事ができることに魅力を感じました。おじいちゃん、おばあちゃんっこだったのでそこも大きく関わっていると思います(笑)。
イ: 木村さんは中国運輸局の雰囲気、小林さんは業務内容が決め手だったんですね!業務内容はもちろん、職場の雰囲気に魅力を感じられるっていいですね!
小: 公務員ということもあり、固いイメージを持っていました。
木: そうですね。
小: 入省当日に、上司へ誰になんの飲み物を出せばいいのか聞いたことがあります。その時は「新人だからって、お茶くみしなくていいよ(笑)」と言われましたね。
イ: 課長がコーヒーをつくられることもありますよね。
小: 上下関係が柔らかいな、と思います。
木: 職員同士の距離が近いですよね。採用してはじめての勤務地が岡山運輸支局だったのですが、初日に何も分からずきょろきょろしていたら「なにに困っとるん?」ってすぐに声をかけてもらいました。同じ部署違う部署関係なく声をかけてもらいました。
イ: 困っている雰囲気をすぐ感じ取ってくださる方が多いですよね。
小: 業務の内容も思っていたより幅広いと感じました。デスクワークが多い部署や出張が多い部署もあります。
イ: 公務員って聞くとデスクワークが多いイメージもありますが、そんなこともないんですね!幅広く色々な業務を経験できるのは魅力的だと思います!
木: 採用一年目の時、定時に帰ることが仕事!と定時になると上司の皆さんが声をかけてくれたのでとてもありがたかったです。有給休暇も1ヶ月に1日は取るという取組をしていましたし、取っていなかったら、「休んでる?」と声をかけてもらえるので、抵抗なく取ることが出来ます!
小: WLB(ワークライフバランス)の観点から一年で15日は有給休暇を取得する取組もあって、去年も15日有給休暇を取りました(笑)
イ: 体調不良の時もきちんと有給休暇がとれるのはありがたいですよね!
木: 有給休暇を取りやすい環境を作って頂いているということがありがたいです!
イ: 1時間単位で取ることが出来るのも良いところだと思います!お昼休憩と合わせて1時間有給休暇を取れば、ちょっと用事を済ませることもできますよね!
イ: 木村さんは岡山から広島に一回転勤したとのことでしたが、小林さんはいかがですか?
小: 採用は因島、次に岡山、水島、広島くらいしてるのかな?
イ: 正直、転勤はどうでしたか?
小: 就職してからは何度か引っ越しをしていますが、今も引っ越しする異動が決まると嬉しいです(笑)。お部屋探しとかが好きなんです。間取りをみてどこに何の家具を配置するかとか考えるのも好きで。
木: めっちゃわかります!(笑)
小: なので僕は転勤に抵抗はない方ですね。
イ: 木村さんは岡山運輸支局に採用されたときどうでした?
木: 岡山は慣れた土地じゃなかったから、最初は抵抗があったけど、実際住んでみたらとても住みやすくて。あとは、僕自身が出かけることが好きだったのもあって全然知らない場所に突然行ったときに、今までの知識でざっくり倉敷美観地区のあたりとかしか知らなくていろいろ調べてたら、今まで知らなかった美味しい料理のあるお店とか新たな発見ができて楽しかったし、休みの日とか出かけるのが楽しみになってたかな。
イ: 住んでみてわかることってありますよね。こんなところにこんな店がとか、実際に歩いてみたらこんなに近かったんだとか。
木: 発掘するものすべてが新しい発見だったから、とても楽しかったです。好奇心旺盛なので・・・
小: せっかく住んでいるんだし行ってみようってなりますよね、これをきっかけにみたいな。
木: ですよね。何年か後にまた異動するかもと思うと、今だからこそ経験できることたくさんしておこうと思えます。
小: 異動した後でも、住んでいた場所に出張で行ったりするとなんかちょっと嬉しいです。「あ、ここ知ってる!!」って思ったり。
木: 道案内だったり、おいしいお店だったりですね!
イ: めっちゃ頼られますよね!あの人前住んでたから聞いてみよう!って。
木: そのパイプがあると強いですよね、いろんな土地のことも知れるし転勤も楽しめる要素の一つだと思います。
イ: どんなところでも「住めば都」ってことですね!
小: 他の職場で働いたことがないのであんまり分からないですが、転勤が大きな特徴だと思います。人それぞれメリットにもデメリットにもなりえますけど・・・。うちは異動範囲が広くて地方自治体とかは範囲が狭い。逆に、業務内容は逆だと思いますね。色々幅広く仕事をしてるといいつつ、自動車、船、鉄道、観光。仕事のジャンルは「交通」というくくりで似ているから、仮に自動車から船に異動となったとしても、考え方が似てたりするので「0からスタート」ということはそうそう無いんじゃないかなと思います。
木: 運輸局はこれまでの蓄積した知識や経験が使えますよね。
小: 監査から旅客第一課とか、2くらいからスタートできますよ。僕もこの逆で貨物課から監査に配属になって、貨物の方は分かるので10分の1.5くらいは経験値がありました。
イ: いや!絶対1.5以上ありますよ!幅広いけど共通してる業務。異動の際の心理的不安は少なそうですね!木: どう仕事と関わりたいか、そのマインドは大事にしてほしいです。僕が中国運輸局を選んだ理由が、学生の時とかバスとか電車とかの乗り物に乗っているときに、「運賃ってどうやって決まっているんだろう」って思ったのがきっかけだったんです。ちょっとした興味から探っていき、どう仕事につなげられるのかを考えて。そこで興味を持った仕事の選択肢の中に、中国運輸局を入れてもらえたら嬉しいです。
小: 今の就活生の皆さんは、僕の時よりも苦労していると思うんですよ。公務員の数自体も減っていってますし、コロナ禍でいろいろ先が見えないし。辛いこともあるとは思うんですけど、中国運輸局に入れば「あのとき頑張ってよかった!」と思っていただけると思いますので、頑張ってください!